遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.096
化学療法学会総会で特定著者の書籍販売が禁止された!

  小生如き微力学者でも、時に学界の趨勢に批判的な発言をしますから、「先生も、なかなか言い難いことをズバリおっしゃいますね!」なんて、研究者仲間から皮肉を言われたりすることがあります。

  それが封じられたら世の中もう終わりですから、以下に報じられている事態は事極めて重大です。


<化学療法学会>特定著書の販売禁止…会員医師の本
2015年06月11日 15:05 毎日新聞

 日本化学療法学会(事務局・東京)が、今月4~6日に東京都内で 開いた学会総会で、薬剤の使用法などに批判的な著書がある会員 の医師の出版物を会 場で販売禁止にしていたことが、関係者への 取材で分かった。医師は「言論の自由を侵害する不当な圧力だ」と 批判し、学会側は事実関係を調査している。 。

 出版物を排除されたのは岩田健太郎・神戸大教授。感染症治療 が専門で「99.9%が誤用の抗生物質」「絶対に、医者に殺されな い47の心得」など多数の著作がある。

 運営や販売に関わった関係者によると、学会総会の会場になっ た都内のホテルには、医学関連の書籍を販売する書店のブースが 設けられ、会員の著書も並んだ。 しかし学会側は、事務運営を担っ た業者に「岩田教授の著書は一切、展示販売しないこと」を出版社 や書店が守るよう指示、従わない場合は参加させないと伝え た。その結果、岩田教授の著書は除かれ、別の著書の本に寄せた岩田 教授の帯文も外されていたという。

 岩田教授は「製薬企業と関連の深い医師による不適切な抗生物質 などの使い方を批判してきたことが排除の理由かもしれない。言論の自由は学問の進歩のために保障されるべき最低条件。このような圧 力は初めてだ」と批判する。 。

  同学会は抗がん剤などの化学薬品や抗生物質を使った治療法の 発展と普及を目的にした公益社団法人で、会員は約7000人。学会 総会会長の二木芳人・昭和大 教授は取材に「特定の著書の販売を 禁止したのは好ましいことではなかった。調査中で今は話せない」と 答えた。【千葉紀和】

  その後には次の報道が続いています。


化学療法学会:「著書販売禁止は総会会長の独断」
毎日新聞 2015年06月12日 03時00分

  ◇調査内容まとめ、教授に文書で回答

  公益社団法人・日本化学療法学会(事務局・東京)が、薬剤の使用法などに批判的な著書がある会員の岩田健太郎・神戸大教授の出版物を今月開いた総 会会場で販売禁止にしていた問題で、学会は11日、事実関係を認める調査内容をまとめ、岩田教授に文書で回答した。禁止の指示を出したのは「総会会長の二 木芳人・昭和大教授の独断」とした上で、「学会は何ら関与していない」としている。

  回答は学会の門田淳一理事長名で、「担当する書店に、岩田教授の書籍を取り扱わないよう指示したことは事実」と認め、「会長や関係者が不当な介入を行うことがないよう通達する」と今後の再発防止を約束している。

  指示を出した理由について、二木教授は取材に「岩田先生の著書は高く評価しているが、考え方が違うところがあった。(販売を禁ずるのは)総会会長の裁量の範囲内と思っていたが、やり過ぎてしまった」と話した。 )

  一方、岩田教授は「意見が違えば論争するのが学問であり、権力を使って著書を排除するのは不当な圧力そのものだ。責任の所在もいいかげんで到底納得できない」と憤っている。【千葉紀和】



  これは、単に一学会の会員と当該学会の年会長や学会長の間のいさかいなどという小さな問題ではなく、科学における「学問の自由」、「発言の自由」という総ての研究者の基本的人権に関わる極めて重大な問題を含んでいるのですから、もっともっと活発に論議されないといけないですね。

  なお、これらの事態に対する岩田健太郎・神戸大教授の見解と当該事件の関係者への要求・要望などは、

医療維新シリーズ: The Voice 不十分な化療学会の調査  公益法人らしい組織を、著作の販売禁止めぐり

  に掲載されておりますので、皆様方ご自身の考察を纏めるための参考資料としてお知らせしておきます。


2015/06/25