遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.088
亦また“糞便移植”がMGHでもCDIに著効!

  ”糞便移植”( 参照: http://allabout.co.jp/gm/gc/445167/ )の有用性については、我が国では主要なメデイアが全く採り上げませんので、小生は、本NPO「医療教育研究所」のホームページ上で自身の意見を開陳するサイト「遠藤浩良の雑記帳」で、既に4回(最新は “糞便移植譚”第4報 ― 世界初の国際会議! )ご紹介しています。

ところがアメリカでは、以下に例示しますように、今尚トピックスとして大々的に報道されていますので、本サイトでは屋上屋を重ねることになってしまうので恐縮ですが、しつこく紹介を続けることにします。

原著論文:http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1916296

Oral, capsulized, frozen fecal microbiota transplantation for relapsing
Clostridium difficile infection


JAMA. Published online October 11, 2014. doi:10.1001/jama.2014.13875

  要するに、アメリカのボストンにある世界的に最も著名な病院の一つであるマサチューセッツ総合病院(MGH)で、一般的には極めて治療が困難とされている再発性クロストリジウムディフィシル感染症(CDI)患者20人中の18人の激しい下痢が、健常人の便から該病院で経口摂取用に作製したカプセル入りの凍結便微生物の服用によって、奏効率90%で解消したというのです。

  ちなみに、以前に報告された、やはり世界的に有名なニューヨークのメイヨクリニーク( Mayo Clinic)での同様な臨床試験

Quick, inexpensive and a 90 percent cure rate
http://www.mayoclinic.org/medicalprofs/fecal-transplants-ddue1012.html

の際にも、奏効率は同じく90%程でした。

  世界中どこの病院でも、標準治療として用いられる抗生物質バンコマイシンの有効率が凡そ20~30%です。から、これらの有効率90%という数値は医師なら誰でも目を瞠る素晴らしい効果なのです。

  ところが、この治療方式は製薬企業の「治験」には全く馴染まない性格のものですから、日本でも文字通りの「医師主導型臨床試験」として、誰かが何処かで積極的にトライしてみたらいいと小生は思うのですが。いや、そう言うよりも、是非ともトライすべきでしょうね。

  一方、研究者は、人知を尽くした「薬物療法」をせせら笑い、更にまた人間の自然の摂理に基づいた「糞便移植」にもなお頑強に抵抗して最後まで残る10%のCD(Clostridium difficile)とは一体全体どんな性格を持った菌なのか、これを何とか追究して、更に有効な治療法の開発に道を開いて欲しいものです。


2014/10/31