遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.087
“デング熱”蔓延状況―“備えあれば憂いなし”で行きましょう

  今や毎日毎夜、「どこ何処で発症、代々木とは関係なく! 患者は全国で三桁になった!!」と、デング熱流行拡大報道が相継いでまるでパニックです。そんな状況をまとめるのに今のところ特段の区切りはないものですから、少し落ち着いて考えるために、一応2014年9月24日(水)現在の時点で整理してみました。(実は、デング熱感染は毎年の定番的現象で、例えば 台湾では Dengue Outbreaks in High-Income Area, Kaohsiung City, Taiwan, 2003–2009 Emerging Infectious Diseases Journal 18(10) October 2012 のような報告があります)

  〇 厚生労働省の新着情報配信サービス等から


  〇 少し古くなりますが、

デング熱対策に関する関係機関緊急対策会議審議会資料 |厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000057352.html

デング熱対策に関する関係機関緊急対策会議審議会答申・報告書
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000057353.html

  これらには十分に資料的価値はありますので、真面目に腰を据えてその中から自身にとって有用な部分を拾って整理すれば、市民に提供する有効な情報に加工することは出来ます。でも、現場の皆さんは、そんな悠長なことをやってる暇はありませんよね。

  そこで、現場の医療従事者が患者さんに要領よく対応するために、国立感染症研究所がデング熱に関する現状を、以下のように分かり易く8枚のスライドにまとめてくださっています。

http://www.carenet.com/news/general/carenet/38574
「デング熱」への患者応答パンフ  今、話題の
「デング熱」患者さんからの質問にどう答える?

  これはは大いに役立つでしょうが、それでも、患者さんやご家族に対しては、受け売りの知識で「・・・・・ だそうです。」と説明するに留まり、どうしても説得力には欠けることは否めませんよね。

  その点で、以下のように、さすが物書きを生業とするブンヤさんの書くものは官僚の作文とは違って迫力がありますから、皆さんの説明にこれを援用したら大いに役立つこと請け合いでしょう。長いので先ず抜書きしてご紹介しますが、お時間のあります時に是非全文をお読みくださいようお勧めします。

http://mainichi.jp/shimen/news/20140908dde012040002000c.html
特集ワイド:正しく恐れるデング熱 毎日新聞元特派員も重症体験「背中が紫色に…」
尿減少など悪化の兆しに注意
毎日新聞 2014年09月08日 東京夕刊


 まずは「体験者」の話を聞いてみよう。毎日新聞デジタルメディア局の小松健一局次長(56)。
身内の話で恐縮だが、タイ・バンコクのアジア総局に勤務していた2003年、3カ月の間に2回もデング熱に感染し、
死を覚悟するほどの重症に陥ったのだ。


 この病気、特効薬もワクチンもないから、基本は静養して体の免疫機能がウイルスをやっつけるのを気長に待つしかない。自宅で休み、3日目に熱は下がった。「死者も出る病気と聞いていたのですが、僕は熱で体がしんどい以外は症状が何もない。ふーん、こんなものか、と」

 問題は「2度目」だった。当時、中国からラオス、タイを経て亡命する北朝鮮脱出者が相次いでいた。実態を探るためタイ北部とラオスで3日間、取材に駆け回り、バンコクに戻って連載記事を書き始めた直後−−。「連載1回目の原稿を東京に送って自宅に戻り、シャワーを浴びたんです。すごくおなかがペコペコで、晩ご飯を楽しみにしながらタオルで体をぬぐっていた。足をふこうとかがんだ瞬間、ドワッと顔が熱くなり、悪寒が体中を走って……」


 翌日の昼、ベッドで目覚めると、なんと背中一面が内出血で紫色に変じていた。全身の血管から血液や血漿(けっしょう)成分が漏れる重い「デング出血熱」へと症状が進んでいたのだ。

 「入院中、トイレには必ず看護師と一緒に行くよう注意されました。もし転倒したら内臓から出血するから、と……。ベッドに横になりながら『このまま眠ったら、もう目が覚めないんじゃないか』との思いが脳裏をよぎったのを覚えています」

  点滴を打ち続けて3日目にようやく快方に向かい、6日目に退院した。熱が下がるまでの記憶はほとんどない。「蚊の多い農村地帯などに入る時は長袖を着て、 首筋も布などでガードするのが原則。あの取材ではつい油断して半袖で通してしまって。土地の病気には割と詳しいつもりだったのですが」


 伝染病に詳しい内科医でナビタスクリニック立川(東京都立川市)理事長、久住英二さんは「デングウイルスは四つの型があり、ある型に感染した後、別の型に感染したら重症のデング出血熱に至ることがあります。でも、そのメカニズムは完全には分かっていません」と解説する。


 久住さんは言う。「海外との交流が活発になればなるほど、日本になかった病気が流入するリスクは大きくなる。いっそデング熱を奇貨として、海外のさまざまな病気に関心を向ける機会と受け取ってはどうでしょう」

敵を知り、己を知れば百戦して危うからず。「正しく恐れる」ことがデング熱克服への近道であるようだ。

http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=102
日本環境感染学会 - 四学会緊急セミナー「エボラ出血熱・デング熱への 対応」

 でも、これに参加できるのは主催4学会の会員に限るのだそうです。残念です。

 これは、以下のように、「デング熱」には科学的にまだ十分に解明されていない点があり、技術的にも治療法には開発途上の部分があるからなのでしょうか。

  • http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1409/1409030.html
    デング熱の重症化メカニズムで新たな仮説を提唱 -
  • http://mainichi.jp/shimen/news/20140909ddm041040165000c.html
    デング熱:遺伝子組み換え蚊、140万人感染のブラジルに登場

  • 早急に科学・技術研究が進展し、市民にも広く情報が公開されることを期待します。

      でも、それよりも前に今の我々にとって一番必要なことは “蚊に刺されないようにする”ことなのです。

  • http://www.carenet.com/news/general/carenet/38668
    蚊に刺されないことが最大の予防 提供元:ケアネット 公開日:2014/09/15
    9月11日(木)、都内にて「蚊でうつる感染症~ 都心のデングを考える」と題し、国立国際医療研究センターメディアセミナーが開催された 。  ・・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・・・

  この点に関連して、この「医療教育研究所」のホームページでも素晴らしい有用な情報源として個人HP( http://www2.odn.ne.jp/~had26900/ )をリンクしている、畏友・木下武司教授(帝京大学薬学部創薬資源学教室)の巧まざる実践例を、昔から言い習わされている 『備えあれば憂いなし』 とはまさにこのことと、小生のこの種の発信に対して頂戴したレスポンスの一部を最後にご紹介させていただきます。


  ・・・・・ ご無沙汰しています。まさにデング熱パニックですね。しかし、随分と昔からあったわけで、また蚊に刺されなければ感染しないのですから、対策は簡単なのではと思います。毎年、感染して帰国する人が200人もいたなんてびっくりしました。皆さん、感染地域にあまりに無防備で出かけているのですね。 私なんか、デング熱だけでなくもっと怖いマラリア大流行地帯のインドネシア・フィリピンに最長五週間、短くても十日間、計二十回以上も出張しても一回 も感染しませんでした。十分な対策をしていたからです。 蚊除けスプレーとローションでばっちり防護し、おまけに蚊取り線香もぶら下げていましたから。マニ ラのような大都会はマラリア蚊はいませんが、デング熱を媒介する蚊はうようよいます。あちこちに不潔な水たまりがあるからです。 感染者数も数万人単位で す。ですから、ホテル内でも蚊取り線香を焚いていました。ホテルの従業員からはいやがられましたが、健康第一ですから。 一昔前の日本でも蚊で媒介される感 染症は日本脳炎ほかありました。私が幼少のころ、必ず蚊帳を吊して寝たものです。要するに蚊に刺されまいとする心構えをもつことです。 沖縄の八重山諸島は 半世紀前までマラリアが発生していました。今でもマラリア蚊がいますので、いつ再発生しても不思議はありません。西表島のジャングルで採集していたころ、 フィリピン並みにばっちり防護していました。しかし、よその大学の研究者はまったく無防備でした。このノーテンキというか安全ぼけしたところが日本の弱点 になりかねません。 6年後の東京オリンピックで、デング熱大流行となったら先進国失格の烙印を押されかねません。旧相模湖キャンパスの薬用植物園のおじさん達はその 点立派です。おそらく感染のリスクは低いでしょうが、やはり昔からの習性でしょうね、今も腰に蚊取り線香をぶら下げて作業しています。 ・・・・・  ・・・・・



2014/9/26