遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.082
“まつ毛成長促進薬”として初のPG類縁体承認

  Allergan (AGN) Announces FDA Approval For LATISSE
http://www.streetinsider.com/FDA/Allergan+(AGN)+Announces+FDA+Approval+For+LATISSE/4262940.html

からの引用ですが、アメリカ・カリフォルニア州・アーバインにあるアラガン社が、既に2008年末に FDA から承認を得て、現在では世界23カ国で販売しているPG F2α 誘導体の製剤である ”まつ毛育毛薬” Lattisse (bimatoprost ophthalmic solution) の効能を示したものです。

  これは、同社が既に緑内障治療薬として販売していた同成分の Lumigan が、副作用として睫毛の色素沈着を促進すると同時にその成長を促して太く長くするので、これを主作用に転用して開発されたものです。
※ 参考文献:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2861943/
Bimatoprost in the treatment of eyelash hypotrichosis

これが、下記のように、この程遅ればせながら、日本でも製造販売承認に至りました。

 まつげの長さや量が不十分な「睫毛貧毛症」の初の治療薬として、厚生労働省は3月下旬、アラガン・ジャパン (東京)の「グラッシュビスタ外用液剤」(成分名ビマトプロスト)を承認した。  同社は販売体制が整い次第、医師の処方薬として発売する。健康保険は適用されない。  この薬は、緑内障や高眼圧症の点眼薬として国内でも処方されている「ルミガン」と同じ成分。ルミガンの臨床試験(治験)の際、まつげが伸びる"副作用"が数多く報告されたため、睫毛貧毛症の治療薬としても開発が進められた。

 使い方は、専用の器具に薬液を1滴垂らし、上まぶたのまつげの根元に塗り付ける。  国内の治験では、事前に被験者のまつげの長さや太さ、厚み、色の濃さを評価尺度に基づき4段階に分類。4カ月間、薬を毎日塗布してもらい、改善の程度を分析した。  すると、少なくとも1段階以上改善した人が投与開始1カ月後に29・5%、2カ月後48・9%、4カ月後77・3%と増加し、投与終了から1カ月後(開始5カ月後)には78・6%に達した。  「つけまつげ」や「まつげエクステンション」など、まつげ美容の市場が拡大する中、自身のまつげを成長させる薬には大きなニーズがある。一方でこうした 現状は、海外で先行販売されている同成分の薬を個人輸入したり、医師が眼科用のルミガンを転用して処方したりといった、必ずしも適正でない使い方の横行に もつながっている。  同社は「出回っているものの中には組成が明らかでない類似品もある。(今後は)国に認められた正規品を、医師の指導の下で安全に使ってほしい」と呼び掛けている。

  さてここで、「睫毛貧毛症」( eyelash hypotrichosis )が真に医療の対象となる疾患であるか否かは大いに考えるべき問題だと思いますので、この「グラッシュビスタ外用液剤」が健康保険適応外であるのはわかります。しかし、抗がん薬の副作用によってまつ毛が抜け落ちてしまった患者さんが使う場合はまさに医療用医薬品としての使用そのものですから、この場合は健康保険が適用されてしかるべきだと小生は思うのですが違いますか? そうしたきめの細かい医療行政は出来ないのでしょうか?

  ところで、現実には、「グラッシュビスタ外用液剤」のこのように真っ当な医療用としての使用は、アラガン社にとってさして大きく期待するところではないでしょう。すなわち、これまで多くの若い健康な女性が Latisse を個人輸入してきた事実、あるいは多数の眼科医院が輸入したLumigan を ”まつ毛育毛薬” として、患者ならぬ実は健常な顧客の美容目的に利用して営業している実態など、インターネット検索すれば容易に見える隠の膨大な需要からして、今後は「グラッシュビスタ外用液剤」が堂々とアラガン・ジャパン社の売上増に大きく貢献することになるだろうと考えているに違いないでしょう。

本当の医療、医薬品の在り方を考える時、こんなことでいいのでしょうか??

2014/4/25