遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.080
脳梗塞急性期に有用な尿酸注入療法 うそ? 本当!

  American Stroke Association (ASA) の国際脳卒中会議(International Stroke Conference 2014, 2014/2/12~14, San Diego, U.S.A.)で、スペインのComprehensive Stroke Center at Hospital Clinic in Barcelona から、標記の内容の

LB1 - The URICO-ICTUS Study: A Randomized Trial of Efficacy and
Safety of Uric Acid Administration in Acute Stroke
http://my.americanheart.org/idc/groups/ahamah-public/@wcm/@sop/@scon/documents/downloadable/ucm_460266.pdf

という発表がありました。ポスターによる示説ではなく、口頭発表が認められたのですから、学会としても大変に興味ある報告と評価したのでしょう。

  Angel Chamorro 氏を筆頭とする研究陣は、既に2011年に同種の先行研究を報告していますが( Stroke 2011; 42: S28-32 )、何せご存じの通り、血中尿酸高値は痛風をもたらす他、心血管疾患リスクを高めるとされているのですから、通念に反するようにも見えるこの研究に関係には学協会やメディアも飛びついて、下記に例示する通り、一斉に報道しています。

  でも、我が国における報道は、


脳梗塞急性期の尿酸注入療法?!の有用性を検証 スペイン・URICO-ICTUS試験
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1402/1402039.html
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 Chamorro氏らは脳梗塞における尿酸の意義について「放火犯ではなく,消防士としての役割を担っているのではないか」と説明。「尿酸には脳の虚血につながるフリーラジカルの生成を防ぐ非常に有効な抗酸化作用がある」とコメントしている。
 今回の研究結果では,1次評価項目において有効性を示せなかったものの,3日時点の虚血悪化が有意に改善されていたこと,安全性に関する問題がなかったと結論。急性脳梗塞に対する有望な選択肢となりうるとの見解を示している。


だけのようです(2014年2月15日21:00現在)。

  厳格な審査を経た科学誌の論文収載ではなく、まだ学会での口頭発表の段階であるとはいうものの、それでももう少しは日本でも紹介されていいのではないかと思うのですが如何でしょうか。何せ一般にこうした社会通念に囚われない斬新な研究から科学は進歩するもので、医学やそれを支える医療技術も全くその例外ではないのですから。

2014/2/28