遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.076
滔々と「在宅医療」へ向かい始めた医療界の地殻変動

  ”在宅医療において薬剤師は如何にあるべきか ・・・” といった議論は、今や我々の中で極く当たり前にされるようになって来ましたが、それはまさに医療の根幹をなす医師の世界で、従来の強い専門医志向から、急速に家庭医(home doctor)、総合医(general practitioner ; GE)、”かかりつけ医” を尊ぶべしとする新しい価値観への大きな地殻変動が滔々と起こっていることの反映の一つなのです。

 例えば、典型的なものとして、本2013年に東大から文科省に提出されて、8月に採択されたたばかりの ”医学部在宅医療講座の設立申請書” (ご面倒ながら、下記にしたがってクリックしていただきますと、やっとのことで辿りつきます。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2013/08/23/1338951_04.pdf
→ (教育)大学・大学院 専門教育
→ (高等教育改革)大学における医療人の養成(医学・歯学・薬学・看護学等
→ (医学・歯学教育)3.医学・歯学教育関連予算
→ 未来医療研究人材養成拠点形成業
→ 選定大学の取組状況
→ テーマB リサーチマインドを持った総合診療医の養成
→ 東京大学「新しい大学-地域間連携での研究人材養成事業(PDF832KB)」

を見てください。、この名称にある ”未来医療研究人材養成拠点形成事業” とは、読んで字の如くとは全く行かずに如何にも分かり難く、しかも亦東大の文書は10頁にも亘る長文ですので、読み通すのは大変ですから、我慢して一度斜め読みしてみてください。兎に角、あの専門医志向だった東京大学医学部が総合医、家庭医を養成すると宣言しているのです。

  実は、その昔こうした考え方が提示された当初、論議は医学界、医師界の激しい反発に始まるのですが、それがようやくここに至るまでの長い歴史は、以下に例示する大熊由紀子氏(元 朝日新聞論説委員、現 国際医療福祉大学教授)の、凡そ四半世紀を隔てた論説2編を読み比べてみると、象徴的によく分かります。

(1) 1985年6月5日付け 朝日新聞社説 身近に頼れる家庭医を
http://www.yuki-enishi.com/medical/medical-13.pdf

(2) 2013年9月25日付け かかりつけ医が自宅へ―変わり始めた価値観 毎日新聞 オピニオン
http://mainichi.jp/select/news/20130925ddm004070021000c.html
http://www.yuki-enishi.com/kasumi/kasumi-00.html
http://www.yuki-enishi.com/kasumi/kasumi-40.txt

  我々薬剤師が、自身の直面する問題として、在宅医療への関わりを考え、行動する場合にも、自身がこうした長い歴史的変遷の一点に今立っているのであるから、一人一人が大きな責任を負っているのだということを常に忘れないようにしなければなりませんね。

2013/11/1