遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.075
市中感染症のリスクを生む都市河川の医薬品汚染

  これまでにも度々小生は、医療施設内ではなく、それとはまったく独立して市中に薬剤耐性菌(時に薬剤耐性ウイルス)が生まれて来るリスクについて、この「遠藤浩良の雑記帳」でも、例えば、No.22 医薬品による川魚の汚染、米国環境保護庁が警告! や、No.68 環境に流出した抗不安薬が魚に異常行動をもたらす! に見られるように、ずっと以前から度々警告を発してきました。

  以下は、この問題に関連して、我が国の現況を伝えた新聞報道です。


http://mainichi.jp/feature/news/20130911k0000e040171000c.html

<薬剤耐性菌>都市河川に 東京工科大「感染症発生の恐れ」  2013年 9月11日(水)配信

 抗菌薬の効かない薬剤耐性菌が、都市部の河川に広がっている可能性のあることが、浦瀬太郎・東京工科大教授(環境工学)のチームの調査で分かった。身近 な環境で耐性を持った大腸菌の存在は、治療が難しい感染症の発生につながる恐れがあるという。11月に札幌市で開かれる土木学会主催の「環境工学研究 フォーラム」で発表する。

 薬剤耐性菌は、抗生物質などの抗菌薬を大量に使う病院で発生しやすく、院内感染の問題ととらえられてきた。しかし、近年は外来患者から検出されることが多い。

 そこで、チームは2011~12年、東京都内の多摩川で、上流から下流までの約65キロの8地点で水を採り、そこに含まれる大腸菌を調査した。

 その結果、採取した大腸菌計3452株のうち75株は、感染症治療薬「第3世代セファロスポリン」が効かなくなる耐性を持っていることが分かった。人の生活に影響が出る中下流の4地点では3.1~4.5%に達し、上流の4地点の0~1%と比べて高かった。

 下水処理施設で大腸菌を基準値以下にしてもゼロではないため、薬剤の効かない大腸菌が大便とともに下水に排出され、川に流れ込んだとみられる。同様の現象は、都市部の河川に共通する可能性がある。

 大半の大腸菌に病原性はないが、病原性のある細菌に耐性が移ることがある。外来患者で薬剤耐性菌が増えていることとの関係は不明だが、浦瀬教授は「抗菌薬の使用用途を限定したり、下水処理の方法を改善したりするなど、社会全体で取り組む必要がある」と話す。[藤野基文]


  同様な問題は、これまでに、大阪の淀川水系、神奈川の相模川水系、東京の多摩川水系でも報告されています

ので、きっちりと体系的に調査しさえすれば、あまり知りたくない嫌なことですが、残念ながら日本中の大都会近郊の河川、湖沼、地下水といった環境水は同様な危険に曝されていることが 分かってしまうのではないでしょうか。

  放置すると後代に禍根を遺すかもしれない重大な問題ですから、上記のように散発的に研究するのではなく、出来るだけ早く全国都道府県の関係機関を挙げて一斉に調査検討を実施すべきではないでしょうか。

2013/10/4