遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.062
薬局薬剤師職能の日米差をワクチン接種にみる

  アメリカでは一般の人がインフルエンザワクチン接種を薬局で薬剤師にしてもらうのは今や極くごく当たり前のことです。このあまりにも大きな日本との差に絶望してしまったら、何時になっても世の中は変わりませんから、自らを鼓舞するために敢えて一言書いてみます。

  それは、日本保険薬局協会がこの2012年8月3~4日に開いた「在宅医療研修会ベーシックコース」(http://www.yakuji.co.jp/entry27674.html ) の冒頭に薬局薬剤師機能拡大委員会委員長(同協会副会長)が言ったという 「・・・ 将来的には薬剤師が注射をを打たざるを得ない時代がくる。 ・・・」の表現が、まるで “薬剤師にとっては嫌な時代が来る” と言わんばかりに聞こえて、一寸ばかり気になったからです。

  つまり、(1) 8月9日の記事( http://retailweb.net/2012/08/post-1202.html

    [ウォルグリーン] 全8,000店舗でインフルエンザの予防接種が可能に

ウォルグリーンの全店舗でインフルエンザの予防接種が可能になりました。・・・・・・このことはつまり最低でも薬剤師8,000人、一店舗当たり複数の薬剤師がライセンスを取得しているでしょうから、1万人強の薬剤師が予防接種の資格を取得したことを意味しています。新型インフルエンザが社会現象となったのが2009年のことで、このあたりから薬剤師による予防接種を強化し始めていますから、3年程度をかけてこれだけの人数の薬剤師に資格を取らせたということになります。・・・ 予防接種は荒利益が高く、値崩れもしてませんので、アメリカのドラッグストア業界にとっては最も売りたい「商品」の一つです。 ・・・・・・

と、更に (2)http://www.hellawella.com/walk-in-get-a-flu-shot-at-walgreens/11323
    Walk in, get a flu shot at Walgreens August 7, 2012

の2つの記事を読み合わせると、日本の薬局経営者が持つ事態の認識に何か大きな感覚的ズレを感じてしまったのです。

  上記のような状況ですから、アメリカでは、CVS( CVS Pharmacy )が7,200店舗(http://www.cvs.com/promo/promoLandingTemplate.jsp?promoLandingId=flu-faqs#1)、ライトエイド(Rite Aid Pharmacy; http://www5.riteaid.com/pharmacy/get_your_flu_shot )が4,700店舗、これに上記ウォルグリーン(Walgreens)の7,700店舗を合計すると、何と全米で実に19,600店舗の薬局で、市民は薬剤師からインフルエンザワクチンの接種を受けることができるようになったわけです。

武庫川女子大学薬学部をご卒業後アメリカに渡ってPharm.D.の資格をとられ、現在は米国フロリダ州のウォルグリーン・デイトナビーチ店で店長としてこの業務に従事しておられる大野真理子さんの生の声

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/oono/201008/516289.html
早くも薬局でインフルエンザワクチン開始!  2010.8.16

を是非読んでみてください。

  これが2年前のアメリカですから、今やっと薬剤師のフィジカルアセスメントが声高に論じられている日本の実状に引き比べ、彼我の薬局薬剤師の職能の差の大きさにはあらためて驚きを感じざるを得ませんね。

  しかも、まるでWalgreens の回し者みたいで甚だ恐縮ですが、同社ホームページのサイト

https://www.walgreens.com/pharmacy/immunization/immunization_index.jsp?ext
Walgreens Immunization Services

にアクセスしてみてください。

  ウォルグリーンの店舗で薬剤師から接種を受けられるワクチンの種類は、上記の季節性インフルエンザワクチンに限らず、年寄りから若者に至るまでのいろいろなワクチンから海外旅行時に接種が必要なワクチンに至るまで、実に多種多様なものに亘っていることが分かります。

  これなら、忙しいさ中にクリニックにわざわざ予約して行かなくても、仕事や学校の帰りがけに、気が向いたら都合のいい薬局に寄ればいいわけですから、市民にとっては大助かりですね。

 全米をカバーするウォルグリーンのホームページ故に一括して簡略に書くとこうなるのですが、実は米国では一つ一つのの州が独立国みたいなもので夫々に法律が違いますから、具体的には、大野真理子さんがお勤めのフロリダ州のウォルグリーンで薬剤師が現在接種できるワクチンは、インフルエンザの他に、帯状疱疹と肺炎球菌の計3種類だけだそうですが、今後は順次拡大されていくだろうとのことです。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/oono/201208/526393.html
新たに2種類のワクチンが接種可能に   2012.8.20

  前述したウォルグリーン以外の全米をカバーする大型薬局チェーンについても夫々細かい点では違いがあるようですので、ここではインフルエンザワクチン接種に関連の URL だけをピックアップしてご紹介しておきます。

  ※ http://ichigoichie55.blog.fc2.com/blog-entry-1174.html 

は、在米の日本人が ”えっ! 薬剤師が注射できるの?” と驚いた様子を日本語で書いていますので、ご参考までに。

  ※ http://eon.businesswire.com/news/eon/20111003006052/en/flu/flu-shot/Tuesday's-Children

では、ニューヨークの忙しい通勤者に地下鉄のグランドセントラル駅のライトエイド店でインフルエンザワクチン注射が簡単に受けられることを事細かに説明していてなかなか面白いです。

  実は、こうしたことは何もアメリカに限りません。例えば英国では、子宮頸がん予防ワクチンの接種が、大手薬局チェーンの Boots の店舗で受けられます。

  薬剤師の皆さん、日本でも大いに頑張りましょうよ。

2012/8/27