遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.060
ボケないためには人生に目標を持つこと

  私も82歳ともなると、若い人に対してよく 「人生に目標を持ちなさい!」 などと偉そうにも訓辞を垂れたりしますが、実はこれは若い人に限ったことではなく、歳をとっても絶対に必要なことのようで、これは自戒の言葉でもあります。

  この当たり前のことを生真面目に科学的に証明した研究が、以下のように最近発表されました。

http://archpsyc.jamanetwork.com/article.aspx?articleID=1151486

Effect of Purpose in Life on the Relation Between Alzheimer Disease Pathologic Changes on Cognitive Function in Advanced Age

Patricia A. Boyle, PhD; Aron S. Buchman, MD; Robert S. Wilson, PhD; Lei Yu, PhD; Julie A. Schneider, MD; David A. Bennett, MD

Arch Gen Psychiatry. May 2012;69(5):499-504

  でも、”明確な人生目標を持つことがアルツハイマー型認知症の予防につながる” という研究の結論が、あまりにも常識的な当たり前のことのように見えたからでしょうか、欧米でもこれを一般に紹介したのは下記の HealthDay の1つだけだったようです。

http://archpsyc.jamanetwork.com/article.aspx?articleID=1151486
Having a 'Purpose in Life' May Help Shield You From Dementia

  したがって、当然のこと日本国内でも、この研究論文の紹介は、以下に例示するほんの幾つかの上記報道の翻訳だけでした。

明確な “人生目標”をもつことが認知症の予防に (2012.5.17掲載)

http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&view=article&id=3758:-2012517&catid=20&Itemid=98

http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=28116

  この研究は、Archives of General Psychiatry誌 5月号に掲載された米国のRush大学メディカルセンターを中心とした研究陣によるもので、報道の一部を抜粋して紹介しますと、

・・・・・ この研究は、高齢者246人の検査結果を検討したもので、被験者の死亡後、剖検により脳の状態が調べられた。人生目標は「意図的、集中的に人生経験の意味を見出す傾向」と定義され、10項目の心理学的テストの回答の分析により判定された。プラークや神経原線維のもつれ(tangle)などの脳の汚物(brain gunk)が多くみられる人の中で、人生に大きな目標をもっている人は、精神(認知)力の低下による影響が小さく、Boyle氏は「目標の少ない人に比べて認知力低下の速度が30%遅かった」と述べている。この関連は、他の因子の影響について統計学的な結果を調整してもなお認められるものであった。

米デューク大学(ノースカロライナ州)メディカルセンター記憶障害外来のJames Burke博士は、「人生の目標が高齢者の精神力に関連するとすれば、脳の容量によるものと考えられる」と述べている。同様に、学歴の高い人は脳のプラークや神経原線維のもつれに対する抵抗性が高く、認知的問題が少ないという。「道路の多い街では、多数の道が塞がれても目的地に辿り着くことができるという説明が一般に用いられるが、立証するのは難しい」と同氏は述べている。 ・・・・・

の如くでして、「人は目標があればアルツハイマー病の身体的徴候に対抗できると結論しているのです。

  古来よく ”悠々自適の生活” なんて綺麗ごとが言われますが、これは平たく言ってしまえば、”歳をとったら毎日だらだらとのんびり過ごしたい” 人が結構沢山いるということなのではないでしょうかか。

  しかし、この研究によれば、分かり易く言うと、”ボケない生き方!” とは ”一生涯にわたり、 常に目的、目標を持って生きていく!” ことであるというわけです。

  即ちこれが、最初に述べましたように、82歳の我が身に対する自戒の言葉でもあるという次第です。

2012/6/27