遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.058
いよいよわが国でも稼働へ向かう
医薬品副作用の患者直接報告制度

  小生、この「遠藤浩良の雑記帳」のサイトでは、「No.14 医薬品副作用患者発報告制度の世界における現況」、「No.23 医薬品副作用被害の患者直接報告制度の創設を」、および「No.42 患者や家族が医薬品副作用イベントを行政に直接報告する制度」、と3回にわたり、欧米では今や当たり前になっている ”医薬品副作用の患者直接報告制度” が、依然わが国では実施に至っていないことに対して、大いに異議を唱えてきました。

  それがやっとのことで、いよいよ具体化の段階に入ってきましたので、ご報告します。

  すなわち、2012年3月26日に慶応大学薬学部で開かれた『厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)「患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究」成果報告会』では、鈴鹿医療科学大学薬学部の山本美智子教授がこの点に関する欧米諸国の先進的状況を報告されました。

  翌々日28日に札幌で開催され、小生が座長を務めました日本薬学図書館協議会主催のシンポジウム『患者本位の医薬治療サービスの提供~地域格差を乗り越える取組み~』では、今やこの方面では八面六臂の大活躍の山本美智子先生が、「患者からの副作用報告制度への取組みについて―患者の声を安全対策へ」と題して、我が国でも医薬品副作用患者直接報告制度がやっと実現の運びに至った経緯を詳しくお話しくださいました。

  そうしましたら、スライドの初めの方には、『”日本における医薬品副作用の患者直接報告制度” の生みの親=日本薬学図書館協議会』 とありまして、そこには目立つように鮮明な赤字で、”仕掛け人は遠藤浩良先生であった” 旨が書かれているのには、座長席の小生もいささかビックリしました。

  これは、小生から山本先生にお願いして、ここ数年の間に3回、小生が専務理事を務める薬学図書館協議会企画のシンポジウムで、ここに至るまでの紆余曲折を逐一ご報告いただいてきたからなのです。

  そして、やっとのことで、以下に例示します報道にあります通り、医薬品医療機器総合機構のもとで、今回 「医薬品副作用の患者直接報告制度」 が我が国でも実施の運びに至ったのです。


総合機構 患者からも副作用情報収集、26日から試行運用  3月26日 日刊薬業

 医薬品医療機器総合機構は26日から、患者から情報を受け付ける新たな副作用報告システムの運用を試行的に開始する。従来の医薬関係者や製造販売業者に加え、副作用の第一発見者となり得る患者からも報告してもらうことで、新たなシグナルの発見やより早い段階での副作用情報収集につなげる。
 患者用副作用報告システムは、患者自身がウェブを用いて副作用情報を総合機構に報告する仕組み。26日から総合機構の「医薬品医療機器情報提供ホームページ」に受付窓口を開設する。   報告者は入力フォームに従って、報告者吊や連絡先、副作用症状、医療機関の受診有無、副作用が疑われる医薬品吊などを記入する。報告内容を基に総合機構が副作用の発生傾向などを把握し、市販後安全対策の強化に役立てる。
 総合機構は、同システムの試行期間中に収集した報告内容や使用環境等のアンケート調査の結果を踏まえ、システムの改良を行い、本格的な運用を開始する計画。本稼働の時期は未定。
 同システムについては、2009年度から厚生労働科学研究「患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究」(研究代表者=望月眞弓・慶応大薬学部教授)で導入に向けた検討を進めていた。11年1月から12月までウェブを用いて患者から副作用報告を受け付けるパイロット調査も実施しており、その調査結果を参考にして総合機構では年度内に試行的に運用を開始する計画を立てていた。


  それでも小生、実は厚労省本省の方がどれ程本気か、多少危惧していたのですが、

厚労省 患者副作用報告システムの周知を三師会に要請 日刊薬業 2012/4/2

医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページで患者が副作用を報告するシステムが26日から稼働したことを受け、厚生労働省は29日、日本医師会と日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会に患者にホームページの周知を呼び掛けるよう要請する通知を発出した。
 通知では、特に調剤時に患者へ提供される「薬剤情報提供書」にホームページのアドレス(http://www.info.pmda.go.jp/ippan.html)を記載して周知するよう求めている。厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会で取りまとめ厚労省が1月に公表した薬事法等制度改正の報告書にも、患者が副作用について理解を深めるため、PMDAのホームページの周知を図ることが指摘されている。


と報道されていましたので、やっと安心しました。

  でも、上記の記事の初めにある ”患者副作用報告システムの周知を” 三師会に求める厚労省の「通知」なるものは、懸命に探したのですが、昨日4月3日の段階では、Web上に見当たりませんでしたので、この情報について本当は小生まだ未確認だったのです。

  ところが、仲間の勉強家薬剤師さんから、3月29日発の「通知」といったならば、

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「医薬品・医療機器情報提供ホームページ」の周知に係る御協力のお願い
(薬食安発0329 第1 号 平成24年3月29日)
http://www.info.pmda.go.jp/iyaku/file/h240329-004.pdf

しか有り得ないが、しかしここでは踏み込んで患者直接報告制度について触れてはいないので、先の日刊薬業の記事タイトルにある 「患者副作用報告システムの周知」 は、上適切というより、むしろ誤りだと教えられました。確かに「日刊薬業」さんの勇み足でしたね。

  でも、PMDAのホームページには、「一般の皆様向け」「患者副作用報告」のサイトhttp://www.info.pmda.go.jp/fukusayou_houkoku/fukusayou_houkoku_attentionはちゃんと存在するのですから、わざわざ言われなくても、薬剤師は患者さん、その家族、介護者に対して積極的にこれをPRすべきですよね。

  兎に角、小生は ”くどい” とか ”しつこい” とか言われていますが、しつこく食いついていれば、”果たせぬ夢” と思っていたことでも、このようにやがては望みがかなって現実になるのだということを ”医薬品副作用患者直接報告制度” から体験しました。

  皆さん、正しいと思ったことは何処までも執念深く追い求めましょう!!

2012/4/27