遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.055
”世界で骨粗鬆症薬はPTH時代” を最新論文に見る

   小生は、今から35年前の昭和52年、神奈川県津久井郡相模湖町という ”ど田舎” に開設されたばかりの、まあ謂わばまだ ”名もない” 帝京大学薬学部から、    

”副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH) は、教科書に書いてある通り破骨細胞(osteoclast)を刺激して骨吸収を促進する、つまり骨を壊すホルモンbone-catabolic hormone であることは疑いのない事実ですが、実はそればかりでなく、PTH は同時に骨芽細胞(osteoblast)を活性化して骨形成も促進することによって、生理的にはは骨組織の「代謝回転 ( metabolic turnover )」を亢進している、即ち PTH は我々の体の中で骨を ”refresh” して何時も若々しく保つという、いわば bone-anabolic hormone でもあるのです”

ということを、世界で最も著名な科学誌の一つである英国の NATURE 誌に、1980(昭和55)年に世界で初めて発表( http://www.ime.or.jp/zakki/zakki_08.html )したものですから、やっとPTH関連製剤が待望の本格的骨粗鬆症薬として歓迎されるようになった今、「年寄りはくどいですね」と嫌味を言われてもつい亦言いたくなりますので、うるさくて申し訳ありませんが、以下に標記の最新論文2編(accessed on Jan 18, 2012)をご紹介させていただきます。       つまり皆さんの目に触れる日本語で書かれた骨粗鬆症の総説、あるいは学会や勉強会で皆さんが耳にする日本語の講演は、bone-catabolic process の一方的抑制という非生理的状態をもたらす、bisphosphonate を代表とする人工産物の医薬品を断然高く評価するものばかりですが、今や海外ではもはやこの状態から足を洗って、PTH(1-34)を代表として、骨形成というbone-anabolic process の促進を作用機序とする生理活性物質の医薬品が強く推奨される時代に入っていますので、上記の論文に見られるように、日本とはまるで論調が違います。

  数年もしたら国内治験が終わりこうした状況が我が国にも当然の如くやって来るにしても、勉強家の薬剤師の皆さんには是非とも今のうちから知っておいて欲しいのですが、日本の骨の専 門家は何方も積極的にご紹介くださいません。

それで、小生が時折、この「遠藤浩良の雑記帳」で、負け犬の遠吠えのように叫ぶ ( 例えば「No.52 骨粗鬆症薬PTH(1-34)の経皮投与パッチ製品の登場迫って想うこと」参照)のが精一杯というのが実情なので、これ等もご参考にしていただけましたら幸いです。

2012/1/30