遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.046
新刊書「薬と社会をつなぐキーワード事典」をご紹介

  小生は既に傘寿の身ですから、これこそが老害なのかもしれないなと内心危ぶみながらも、実は未だに曳きがあるのが嬉しくて、年甲斐もなく執筆者の末席に加えていただいた本が、いよいよ刊行されました。


http://www.ohmura-books.jp/bd/ISBN978-4-7807-0600-0.html
薬と社会をつなぐキーワード事典
「薬と社会をつなぐキーワード事典」編集委員会:編  発売:本の泉社
A5判 392ページ 並製 ISBN978-4-7807-0600-0 C3047
定価:2,381円+税  書店発売日:2011年03月25日


  類書を見ない良い本が出来たと自負しておりますので、自画自賛で恐縮ですが紹介させていただきます。

  先ず、編集委員会の「まえがき」から抜き書きしてみますと、

  ・・・・・ 「患者本位の医療」「根拠に基づく医療」「保健・医療・福祉の協同」などの新しい理念に基づく改革への動きが見られます。薬学の分野でもようやく医療薬学、社会薬学などの新しい教育・研究領域を取り入れ、薬学に対する社会的な要請に応えようとする動きが起こってきました。2006年からの薬学教育6年制への移行もこのような動きの一つです。
  ・・・・・ 取りあげるキーワードは、およそ次のような基準に照らして選定・・・ (1)薬事法などによる規制や制度 ・・・、(2)薬の安全性・有効性を高める課題 ・・・、(3)合理的な薬物治療のあり方 ・・・、(4)薬剤師のしごとに新しい展望をもたらす課題 ・・・、(5)薬の開発思想やマーケッティング活動のあり方 ・・・・、(6)市民・患者の間に健全な健康観、くすり観を育てる課題 ・・・ にかかわるもの
  ・・・・・ 執筆にあたっては、正確で客観性があり、わかりやすい記述、各テーマの現在の断面だけでなく、そこに至る歴史的な経過がわかるような記述を心がけ、必要に応じて、現状への批判や将来への提言も加えるよう努めました ・・・・・

とあり、企画と編集に当たった若い薬剤師の皆さんの意気込みと熱気がうかがわれます。

  次に、本書では15の分野に分類された235項目のキーワードが五十音順に配列されていますが、その「目次」から極く一部を抜粋してみますと、

アスベスト公害/新しい創薬技術/EBM(根拠に基づく医療)/一般用医薬品の販売制度/医薬品の適応外使用/英国国立医療技術評価機構(NICE)/NNT(治療必要数)とNNH(危害必要数)/患者からの副作用直接報告制度/漢方薬の臨床評価/健康教育とくすり/公的資金による臨床試験/混合診療/サリドマイドの再承認/生活改善薬(ライフスタイル・ドラッグ)/タバコ規制枠組み条約/ディジーズ・モンガリング(病気づくり)/薬害オンブズパースン会議/薬剤疫学/薬剤師のしごと(保険薬局)/薬剤師の生涯研修/ランダム化比較試験(RCT)/ワクチン行政/

などとなりまして、非常に広範なトピックスが扱われているのがわかります。

  それでも、実は一つだけ校正ミスに気付きました。上記の「薬剤師の生涯研修」の項目の中で、正しくは「薬剤師認定制度認証機構」であるべきなのが、本文中(344頁)では「薬剤師認定制度承認機構」と記述されていて、索引もそのままで作成されています。小さいこととはいえ機関の名称にかかわることでもあり、字数に変更はなくて済むのですから、是非とも早速に2刷りで修正して欲しいと思います。

  そんな瑕疵があるにしても、あえて ”類書をみない” と言って過言ではない実に素晴らしい事典であるに間違いはありませんから、編集委員会の「まえがき」の結びの文章

  ・・・・・ 薬学生の皆さん、薬学生の教育にあたる教員の皆さん、・・・
薬剤師としてのしごとのあり方について考えている薬学技術者の皆さん、日本の医療と薬のあり方について広く関心を寄せる市民・患者の皆さんなど、広範な読者にとって役立つところがあればと願っています。

をそのまま小生の本書推薦の辞とさせていただきます。