遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.038
カルシウムサプリメントで心臓発作のリスクが増大!!

  先日は、今や新聞の広告やテレビのCMで連日お目にかかる大流行りのグルコサミンに効能がないのかもしれないというお話を致しましたが、今度は効かないどころか却って疾病のリスクが増すかもしれないというサプリメントの話題をご紹介します。

  すなわち、高齢者のカルシウム・サプリメント摂取は、骨の強化に効果がないばかりか、心臓血管病のリスクを増すかもしれないという報告が、2010年7月29日付けの英国医師会誌BMJ(British Medical Journal)オンライン版に掲載されたのです。

  つまり、ニュージーランド・オークランド大学医学部内科学・イアン・リード教授率いる研究グループは、Medline、Embase、Cochrane Trials から、1966年から2010年にわたり発表された、40歳以上の男女計11,921人を対象とした11件の無作為化比較試験についてメタ分析を実施した結果、カルシウム・サプリメント(カルシウム500mg/日以上を1年間以上。ただし、ビタミンD併用者は除く)を摂取すると、心臓発作のリスクをが約30%増加し、また心臓発作ほどではないが、脳卒中のリスクや死に至る可能性も増えていたというのです。

全文 Pdf (9 頁) : http://www.bmj.com/cgi/reprint/341/jul29_1/c3691

Effect of calcium supplements on risk of myocardial infarction and cardiovascular events: meta-analysis Mark J Bolland et al.
BMJ 2010 ; 341: c3691
抄録 : http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20671013?dopt=Abstract

BMJ 誌論説 :Editorials Calcium supplements in people with osteoporosis
http://www.bmj.com/cgi/content/full/341/jul29_1/c3856?view=long&pmid=20671014

  これは、カルシウムのサプリメントが広く普及している現状を考えると、個々人にとって高まるリスクは僅かであるにしても、人口全体では大きな問題になりますから、骨粗鬆症の予防や治療に関連して現状の見直しを迫る内容かもしれません。

  それにもかかわらず、発表からもうおよそ1カ月経ちましたが、この前のグルコサミンの時と同様に、我が国で一般の新聞や雑誌はこれを全然報道していません。

  でも、Web上では日本語による紹介が結構ありますので、幾つかを拾って以下にご紹介します。

  しかし、グルコサミンの時と同様に、欧米ではこの論文が、文字通り ”枚挙にいとまがない” ほどに、競って紹介されています。例えば、ほんの数例ですが、

の如くです。

  なお、これまでの研究では、カルシウム分の豊富な食品を摂取した時には、同様なリスク上昇が認めれていませんので、今回の研究は、サプリメントとしてのカルシウムが独立したリスクファクター(危険因子)であることを示唆したわけです。また一方、これまでカルシウムをビタミンDと同時に摂った時にも、このようなリスクの増大は認められていません。

  とどのつまり、結局は、こうした栄養は、なるべくサプリメントに頼ることなく、食事で自然な材料から摂取するようにすべきであるという、極く当り前の結論に到達するということなのでしょうか。