遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.022
医薬品による川魚の汚染、米国環境保護庁が警告!

  現在では世界中で河川、湖沼、地下水などの環境水が微量ではあるが多種類の医薬品で汚染されており、結局それらから採水される上水道にまで広く医薬品汚染が拡がっています。日本も例外ではありません。この事態について小生は、これまで何度か注意を喚起してきました。

  この度、この問題に関連して、米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency :EPA)と米国ダラスのベイラー大学(Baylor Univ.)の研究陣は、近隣の下水処理施設から多量の排水が放流されているシカゴ、ダラス、フィラデルフィアなど多くの都市の周辺河川に棲む魚の肝臓その他の組織について、36種類の医薬品および化学物質を分析した結果、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミン、降圧薬のカルシウム拮抗薬ジルチアゼム、抗うつ薬のセルトラリンなど7種類の医薬品が認められたことを、ソルトレイクシティーで開かれたアメリカ化学会(ACS:American Chemical Society )の年次総会で発表し、以下の通り Environmental Toxicology and Chemistry誌の3月25日オンライン版に詳細を掲載しました。

  • http://www.setacjournals.org/perlserv/?request=get-abstract&doi=10.1897%2F08-561.1&ct=1
    Occurrence of pharmaceuticals and personal care products(PPCPs) in fish: Results of a national pilot study in the U.S

    Alejandro J Ramirez1, Richard A. Brain1, Sascha Usenko1, Mohammad A.Mottaleb1, John G O'Donnell2, Leanne L Stahl3, John B Wathen3, Blaine D Snyder2, Jennifer L Pitt2, Pilar Perez-Hurtado1, Laura L. Dobbins1,Bryan W. Brooks1, and C. Kevin Chambliss1,

    1 Baylor University, 2 Tetra Tech Inc., 3 U.S. Environmental Protection Agency

    これを紹介する報道例(○)を挙げ、その邦訳(◇■)もご紹介しましょう。

    ○ Fish in U.S. Rivers Tainted With Common Medications
    ―Study is part of government strategy to tackle issue
    http://www.healthday.com/Article.asp?AID=625441

    ◇ 米国の河川魚は薬剤に汚染されている
    http://health.nikkei.co.jp/hsn/hl.cfm

    ■ <ヘルスハイライト>No.1
    米国の河川魚は薬剤に汚染されている
    http://www.phrma-jp.org/archives/info/health/090402-1421.php
    ※ これは上記邦訳報道の転載ですが、米国研究製薬工業協会
    (Pharmaceutical Research and Manufacturers of America:PHRMA)が、業界にとっては一見不利にも見えるこのような情報を自身のホームページで紹介していることは注目されます。
  こうした医薬品汚染が生態系にどのような影響を及ぼすのか、また更に人間がいかなる影響をこうむるのか、極めて多種類にのぼる微量医薬品の複合作用に関しては、これまでに知見が全くと言ってもいいほど蓄積されていないだけに未知の部分が多いですが、今後大いに注目すべきことであるのは確かです。

  それだけに、上記の他にも、メディアは以下のように大々的に報道しています。

  この問題については我が国も全く例外ではなく、例えば淀川水系などでは以前から結構調べられているようですが、あまり大きくとりあげらられていないような気がします。日本でも、学界、業界、また行政も、もっと真剣に取り組むべきでしょうね。