遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.021
第2回 「 医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」
傍聴記

  前回、公布されたばかりの厚生労働省令を検討するという異例の「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」について、初の会議の模様をお知らせしましたが、続いて第2回会議を傍聴しての感想などをお伝えしましょう。

  この会議の模様については、例によって情報提供が驚く程早い小嶋慎二さんによる「アポネットR研究会」の”最近の話題”欄

第2回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会 2009年3月13日(金)
http://www.watarase.ne.jp/aponet/news/090312.html

に ”屋上屋を重ねる” ことになりますが、若干私的なコメントを附け加えます。

  2009年3月12日午10時から2時間にわたり、第2回「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」が、九段会館「鳳凰の間」で開催されました。

   第2回ともなると、各メディアの扱いも第1回に比して大分小さくなっていますが、後述の報道例をお読みいただくとお分かりいただけるように、「インターネットで安全な仕組みができるなら、前向きに検討すればいいのでは」といった意見が出るなど、医薬品のネット販売の禁止を主張する派と、これを容認すべきとする派が真っ向から対立して、時に激高する場面すらあった初回とは大幅に様変わりして、かなり建設的な方向が出てきました。

  配布資料は、委員から提出されたものの第1回会議では討議に至らなかったものが再配布された分を含むとはいえ、あまり大部なものですから正確に数えてはおりませんが、全部で200頁近くにもなるでしょう。

  その中で、ネット販売の公認を主張する「楽天」三木谷氏と「日本オンラインドラッグ協会(JODA)」後藤氏の資料は、合せると100頁以上に及んでいるのに対し、規制を主張する「日本薬剤師会」児玉会長より提出されたものは僅か11頁ですから、相変わらず何か意気込みの差を感じざるを得ません。

  しかも、その中で、三木谷氏から前回指摘された全国の無薬局町村数を「日薬」自身でも調べた結果を提示し、”なるほど無薬局町村は全国で180強あり、その内で一般販売業・薬種商もない町村が全国で確かに95あるが、このような町村に対しては配置販売業による医薬品供給が行われているから大丈夫だと考えている” という、前回検討会におけると同様な配置販売業頼りの説明をしました。

  しかし、これらの地域をカバーする配置販売員がすべて登録販売者の資格を取得したかどうかが大問題です。即ち登録販売者試験を受験しないか、或いは試験に合格していないので古い配置販売員の既得権を行使する、古い配置販売員だったら、扱えるのは極めて限定された品目の配置薬だけであって、今議論の対象になっている一般用医薬品第2類全般を扱うことはできないのですから、その場合には住民の求める医薬品の需要に完全には応じかねることになります。

  ですから、登録販売者の有資格者である配置販売員が行けない離島や山間僻地がもし現実にあるのだったら、日本薬剤師会としては、”それらの地域住民の皆様には、ご注文の医薬品を必ず日薬傘下の何処かの薬局から確実に配達する制度を早急に構築しますから、ネット販売がなくなってもどうかご安心下さい!” と威勢のいい啖呵が切れるくらいでないと本当はいけないのだと思うのですが。これは、規模が違うとはいえ、基本的には、夜間・休日診療所に街の薬局の薬剤師が調剤のために交代で詰めるのと同じ考え方ですから。

  ところが、医薬品のネット販売反対の側からあった発言は、「欲しい薬が購入できなくて困っている人に関しては、行政サイドで対応すべき問題」だとしたものでしかありませんでした。これは ”採算が合わないことは私達にはできません”と白状しているようなものですから、住民のための”地域薬局”であるとか、あるいは ”Community Pharmacy” であるとか、日頃麗々しく言っている言葉がおよそ空しく響きます。

  こうした具体的な問題を薬剤師側と配置薬業界の間でちゃんと詰めているのでしょうか? その上での説明でないと、実はネット販売側に対する真っ当な回答にはならないのですが??

  何せこれまで医薬品に関する論議の中でまるで陽の当らなかった「医薬品配置販売業」に関することですから、こうした点について全く詳しくないネット販売推進側からも、日薬やチェーンドラッグストア協会に対する厳しい追究はありませんでした。

  そんな訳で、当日会場で丁々発止な議論は全くありませんでしたし、配置販売に関する事情にうといことはメディアも同様ですから、以下に例示するような報道の中でもこの問題は全く触れられていません。

  でも、最初に述べましたように、第1回とはかなり様変わりして健全な方向に向いてきた議論の様子は、以下の報道からおおよそお分かりいただけるかと思いますのでご参照下さい。

  今後は厚労省の事務局が論点を整理し、店舗販売業たるとネット販売業たるとを問わず、国民に如何にしたら安全を確保しつつ平等に医薬品を届けることができるかという、具体的な方策が議論の中心になります。真摯に建設的な議論が交わされることを大いに期待しましょう。

  次回第3回の検討会は2009年3月31日(火)16:00から厚労省第22会議室で開催されます。