遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.009
イギリスで益々増大する薬局薬剤師の役割

  英国保健省(DoH:Department of Health)は、この2008年4月3日に、

”Pharmacy in England : building on strengths - delivering the future”
http://www.official-documents.gov.uk/document/cm73/7341/7341.pdf

と題する「薬局白書」を発表し、以下のように保健省のHPのいろいろのサイトで懸命にPRしています。

http://nds.coi.gov.uk/environment/fullDetail.asp?ReleaseID=364416&NewsAreaID=2&NavigatedFromDepartment=False

http://www.dh.gov.uk./en/Publicationsandstatistics/Publications/PublicationsPolicyAndGuidance/DH_083815

http://www.dh.gov.uk/en/Healthcare/Medicinespharmacyandindustry/index.htm

  もちろんこれは、139頁の冊子体(paperback:£25.75)

http://www.tsoshop.co.uk/bookstore.asp?Action=Book&ProductId=0101734123

としても発行されています。

  英国ではサッチャー保守党政権が医療に競争原理を持ち込んだことに起因して、「揺り篭から墓場まで」とかっては世界に誇っていたNHS(NationalHealth Service)の機能も今や危殆に瀕し、国民の医療へのアクセスが極端に悪くなってしまったこの現実を何とか改善すべく、労働党政権は保健医療の現場で薬剤師の能力をさまざまな形で活用する試みをずっと実施してきました。

  今回の「薬局白書」もその一環で、薬局は地域の「健康生活センター」(”healthy living centres”)として診療所医師(GP:general practitioner)の機能を補う役割を積極的に担うべきであることをあらためて明示したものです。

  具体的な薬剤師の役割としては、肥満対策、飲酒や喫煙防止の問題、風邪など軽度な疾患に対する対応、高血圧・糖尿病・喘息など慢性疾患の管理、あるいはクラミジアなど性感染症のスクリーニング等々が挙げられ、保健相は

『薬局は調剤するだけの場所ではない!地域のすべての市民に対し、薬剤師というヘルス・アドバイザーたる医療専門職が配置された場所であり、国民は薬局を活用することにより確実に利益を得ることが出来る』

と述べて、今回の計画の実現に強い期待を表明しています。

  英国医師会は、以下のように、その一般医委員会(Gps committee)議長の言として、「長期にわたる患者の包括的管理は診療所医師が行うのが最善であるが、高度の訓練を受けた薬剤師が薬物治療で患者を支援する役割を果たすことは重要であり、薬剤師にその権限を与える今回の提案を支持する」との press release を発表しています。

GPs' leader comments on extended role for pharmacists
(issued Thursday 03 Apr 2008)
http://www.bma.org.uk/pressrel.nsf/wlu/SGOY-7DCFMS?OpenDocument&vw=wfmms

  勿論のこと英国王立薬剤師会は、「薬局は既にこれまでにも国民に対するヘルスケアサービスに努めてきたところではあるが、市民の99%は自家用車、徒歩あるいは公共交通機関で20分以内に薬局に行けるので、今回の政府提案を薬局薬剤師が誠実に実施していくことにより、例えば現在はGPを受診している軽疾患についてなら、3年以内にはその半分が薬局で処置できるようになるであろう」として、以下のように大歓迎の意を表明しています。

Statement : HIGH STREET HEALTH CENTRES (3 April 2008)
http://www.rpsgb.org/pdfs/pr080403.pdf

  以上のことについては、もちろんメディアも以下に例示するように大々的に報道しています。

  以上については、栃木県足利市の薬剤師さんの熱心な勉強会「アポネットR」のホームページで、上記の英国保健省発表の翌々日の4月5日には早々、

最近の話題 2008.4.05 薬剤師はさらなる役割を担うべき(英国)
http://www.watarase.ne.jp/aponet/topics/0804topics/080402.html

と紹介されています。

  このHP世話人の薬剤師・小嶋慎二さんの素早い資料収集とその勝れた情報処理には心から深く敬意を表します。