遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.005
インフルエンザ予防にはマスクと手洗い! 「うがい」は?

  インフルエンザが今年は特に大流行のようですが、有効な感染予防策として、外出時にはマスクを着用し、帰ったら直ぐに必ず手洗いと「うがい」をしましょうと言われているのは皆さんご存じの通りです。

  その”エビデンス”が、世界的に著名な英国医師会雑誌BMJ(British Medical Journal)の11月27日付けオンライン版に報告されています。

http://www.bmj.com/cgi/content/full/bmj.39393.510347.BEv1?maxtoshow=&HITS=10&hits=10&RESULTFORMAT=&fulltext=Flu++Handwashing++Masks&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCIT
BMJ, doi:10.1136/bmj.39393.510347.BE (published 27 November 2007)
Physical interventions to interrupt or reduce the spread of respiratory Viruses : systematic review

  この論文は、これまでの関連する世界中の報告を網羅的に集めた中からしっかりした51の研究を選んでレビューした立派なものです。したがって、この論文については早速に欧米で非常に多くのメディアが報じています。

  その一例である

http://www.healthday.com/Article.asp?AID=610363
Handwashing,Masks Beat Drugs at Fighting Flu ― Data review finds they're best at keeping individuals safe

は、以下の通り、翻訳されて我が国でも報じられています。

http://health.nikkei.co.jp/hsn/hl.cfm?i=20071206hk000hk
インフルエンザ予防には薬よりも手洗いやマスクが有効

  インフルエンザをはじめとする呼吸器系ウイルスを予防するには、薬剤よりも手洗いやマスク着用などの物理的な防御法が有効である可能性が、過去の51研究のレビュー(再調査)で示された。
オーストラリア、ボンドBond大学のChris Del Mar氏らによると、多くの国でインフルエンザの大流行に備えて抗ウイルス薬が備蓄されているが、このような薬剤およびワクチンは大流行を食い止めるのに十分ではないことが多数の証拠により示されているという。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ・・・・・・・・・・・
その結果、手洗いおよびマスク、手袋、ガウンの着用は、呼吸器系ウイルス蔓延(まんえん)の予防にそれぞれ単独で有効であり、すべてを併用すればさらに高い効果が得られることがわかった。併用した場合、抗ウイルス薬よりも高い効果があるとも考えられるという。この研究は、英国医師会誌「British MedicalJournal(BMJ)」オンライン版に11月27日掲載された。 ・・・・・・・・・・   ・・・・・・・・・・・

  ところで、日本では、インフルエンザの予防と言えば、手洗いとマスクに加えて、必ず ”うがい”の励行が強く勧められるのですが、上記のように、この点が調査に対象になっていないのは、欧米では我が国ほどには ”うがい” が日常的習慣にはなっていないのでしょうか?

  でも、オンライン百科事典 Wikipedia で Gargling (うがい) の頁

http://en.wikipedia.org/wiki/Gargling

を開きますと、水や緑茶、あるいは塩水でうがいをするといいが、人前や食事中に ”うがい” をするのはエチケット違反ですよなどと、かなり詳しく書いてはあるのですが。

  そうしましたら、小生が親しくしている2人の友人から、以下の通り、イギリスおよびアイルランド滞在の経験が寄せられました。

イギリス : ・・・ 「うがい」ですが、イギリスに限って言いますと、うがいする習慣はありません。 うがい薬が売っていないのです! なぜなのかは分かりませんが、日本人に親しみのあるもの、例えばうがい薬以外にも、湿布剤、マスク、カイロ(これは最近少しずつ入っているようですが)などなど、無いモノだらけです。

  イギリスでマスクをしている人、うがいで予防対策している人は見かけたことは一度もありませんので、風邪やインフルエンザに対する予防に関しての啓発活動が弱いのかもしれません。

  これもシックネス・アブセンス(給与が支払われる病欠、もちろん有給休暇とは別です。)が普及しており、調子が悪いと無理して出勤せず、すぐに休むからでしょうか。  ・・・・・・・・・・   ・・・・・・・・・・

  アイルランド : ・・・・ 今回の「うがい」の件ですが、確かに英国やアイルランドではその習慣がありません。 しかし薬屋さんで「うがい薬」を売っていない訳ではありません。幾つかの製品があると思いますが、例えば今手元にある、Betadine(Medlock社製)、gargle and mouthwash用とあります。Contains Povidone-Iodine USP 1% W/Vとありますから、これは日本のうがい薬の「イソジン」のような製品と同じだと思います。

 確かに、うがいは、日本ほど普及していないと思われますが、一方ここに書いてある MOUTHWASHは、日本よりも普及しているのではないかと思はれる節があります。 それはMouthwash製品が、薬屋さんだけでなく、どんな小さなスーパーでも売っていて、更にTESCOの様な大きなスーパーのチェーンでは、自社のブランドの製品を売っています。 こちらでは「Listerine」という製品が古くからあって有名なのですが、これは日本でも販売されていると思います。

 これほどMouthwashがポピュラーな理由は、多分Kiss または、女の人に挨拶をするときに頬にKissをする習慣のためと思われます。 ・・・・・・・・・・


  なるほど国情の違いというのは面白いものですが、兎に角インフルエンザには注意して頑張りましょう。

  かかったと思ったら休める人は十分に休暇をとった方がいいですが、毎日多くの方々に接する我々薬剤師が罹患してしまったら、病院や薬局を訪れる市民の皆さんに大迷惑をかけてしまうわけですから。