遠藤浩良の雑記帳 当法人理事長遠藤浩良が個人的意見として発信する『遠藤浩良の薬学雑記帳』をお届けします。 薬学、薬業、医療に関する資料、情報、意見など盛りだくさんな内容です。
No.001
EMEA、ピロキシカム内服剤に使用規制

 欧州連合(EU)のEMEA(European Medicines Agency;欧州医薬品庁)は、 この6月25日に、以下のとおり、抗炎症剤ピロキシカムの内服剤について、消化管副作用と重篤な皮膚反応を考慮して、その使用を制限するよう強く勧告しました。

 その要点は次の通りです[ なお、( ・・・ )内には原文の表現を併記]。

  • ピロキシカムは、急性の短期疼痛・炎症状態にはもう使うべきではない。
    (・・・should no longer be used for・・・)
  • ピロキシカムは、変形性関節症(osteoarthritis)、リウマトイド関節炎(rheumatoid arthritis) および強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis)に対症療法としては処方できるにしても、決して第一選択のNSAIDではない。
    (・・・should not be the first choice of NSAID・・・)
  • ピロキシカムの処方は、常に、炎症性ないし変性リウマチ疾患治療の経験豊富な医師によって始められるのが望ましい。
    (・・・should always be initiated by a physician experienced・・・)
  • ピロキシカムによる治療は、最低量(1日20mg以下)で、最低限の期間用いるのが望ましい。
    (・・・should be used in the lowest dose・・ and for the shortest duration ・・・)
  • ピロキシカムによる治療は、先ず14日用いたらその後はどうするか熟慮すべきである。
    (・・・should be reviewed after the first 14 days of starting. )

 我が国では、ピロキシカムは古く1982年に承認され、副作用はあるにしても、長年の使用経験から、もはや一応は安全性が確認された医薬品であるというのが一般的印象であろうかと思います。

 それが、今回、EU諸国でピロキシカムに対して既知の副作用から使用制限の措置がとられたのには驚かれた方が多いのではないでしょうか。
これは、これまでの日本では、再審査においても、また再評価においても、新たに使用の制限措置がとられることが滅多になかったからでしょう。

 しかし、考えてみれば、特にこうした同効薬の多い医薬品にあっては、いろいろな視点から既存の医薬品についても常に厳格に適正な使用法を考えるのが当たり前ですよね。日本の行政も変わらなければいけないのではないでしょうか。